症例報告
S状結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
金子 順一, 今井 直基, 立山 健一郎, 角 泰廣, 坂東 道哉, 東 正樹, 吉田 直優, 東平 日出夫, 尾関 豊
国立東静病院外科
症例は53歳の女性.腹部全体の痛みを訴え近医を受診した.イレウスの診断で保存的治療を受けたが改善せず,著明な貧血と白血球増多を認めたため,当院へ転院した.来院時,腹部は膨隆し,圧痛および筋性防御を認めた.腹部単純X線と腹部CT検査では拡張した小腸ガス像と鏡面形成を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した.開腹すると,S状結腸間膜に直径約2.5 cmの異常裂孔が存在し,小腸が150 cmにわたり貫通して絞扼されていた.S状結腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断した.壊死腸管は切除し,裂孔は閉鎖した.
術後経過は良好で第14病日に軽快退院した.S状結腸間膜裂孔ヘルニアはまれであり,文献的考察を加えて報告した.
索引用語
transmesosigmoid hernia, internal hernia, defect of sigmoidmesocolon
日消外会誌 31: 2280-2283, 1998
別刷請求先
金子 順一 〒411-8611 静岡県駿東郡清水町長沢762-1 国立東静病院外科
受理年月日
1998年7月22日
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