臨床経験
診断的腹腔鏡にて胃癌腹膜再発の早期診断が可能であった1例
小林 理, 鈴木 一史, 吉川 貴己, 利野 靖, 円谷 彰, 西連寺 意勲, 本橋 久彦
神奈川県立がんセンター外科第3科
胃癌の腹膜再発の早期診断は困難である.我々は診断的腹腔鏡(以下,DLと略記)にて腹膜再発の早期診断が可能であった1例を経験したので報告する.症例は平成4年9月に胃癌にて根治度Bの手術が施行された.術後5年5か月後の平成10年2月に上腹部痛を訴えた.CTとUSでは胆石を認めたのみであった.血清CEAが4.5 ng/mlと上昇しており,入院精査となった.再入院後の検査では再発所見はなかった.腹痛は持続していたためにDLを施行した.所見はダグラス窩に径2 mmの3個の結節を認めた.2個の肉眼所見は表面と辺縁の不整を認めた.その近接所見は腹膜の血管からコイル状の毛細血管が結節に流入していた.結節は肉眼所見から腹膜播種と診断し,鏡視下に摘出した.病理所見は胃癌の腹膜再発であつた.DLは開腹に比べ容易に腹腔内を観察可能で,小播種巣の拡大観察も容易で,腹膜再発診断および治療方針確定に低侵襲で有用な手技である.
索引用語
peritoneal recurrence of gastric cancer, diagnostic laparoscopy
日消外会誌 31: 2292-2296, 1998
別刷請求先
小林 理 〒241-0815 横浜市旭区中尾1-1-2 神奈川県立がんセンター外科第3科
受理年月日
1998年7月22日
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