症例報告
腎癌手術6年後の胃癌に合併した空腸MALTリンパ腫の1例
塚本 忠司1)2), 太田 泰淳1), 山本 隆嗣3), 久保 正二2), 広橋 一裕2), 木下 博明2)
芦原病院1), 大阪市立大学第2外科2), 同 第2病理3)
症例は52歳の男性.1990年10月左腎癌の診断のもと左腎摘出術をうけ,術後インターフェロンを投与された.1996年10月検診の上部消化管造影検査にて異常陰影を指摘され,精査の結果胃癌と診断された.11月18日開腹すると胃角部に3×2 cmのIII+IIc類似進行癌を認め,さらに空腸起始部に6×9 cmの腫瘤を認めた.胃癌に対し胃幽門側切除術,D2リンパ節郭清を,小腸腫瘍に対し口側断端を十二指腸第4部とした小腸部分切除術を行った.再建は空腸断端を十二指腸第2部に側側吻合したのち,Billoth II法による胃空腸吻合を行った.病理組織診断は胃癌は高分化型管状腺癌,小腸腫瘍はmalignant lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissueであった.術後VEPA療法を施行し術1年7か月後の現在,再発の徴候なく健在である.
索引用語
gastric cancer, MALT lymphoma of the jejunum, renal cell carcinoma
日消外会誌 31: 2369-2373, 1998
別刷請求先
塚本 忠司 〒545-8586 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学第2外科
受理年月日
1998年9月16日
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