症例報告
下血を主訴とし腸重積を呈した単発性Peutz-Jeghers型空腸過誤腫の1例
宇高 徹総, 堀 堅造, 安藤 隆史, 辻 和宏, 高垣 昌巳, 山根 正修
屋島総合病院消化器病センター外科
下血を主訴とし,腸重積を呈した単発性Peutz-Jeghers(P-J)型空腸過誤腫の1例を経験したので報告する.
症例は47歳の男性.1996年10月2日頃より下血を認め入院となった.小腸造影検査で空腸に腫瘍を認め,1週間後の腹部超音波,CT検査で空腸に腸重積の所見を認めたが,腹部症状は認めなかった.小腸造影の再検査では腸重積を認めなかった.腸重積を呈した空腸腫瘍と診断して11月26日手術を施行した.トライツ靭帯より50 cmの空腸が三筒性の重積をきたしていた.用手的に整復した後,腫瘤を含め20 cmの空腸を切除した.摘出標本では,腫瘍は有茎性のポリープで,病理組織学的診断は,P-J型の過誤腫であった.自験例では,過誤腫による無症状の腫重積を起こしては自然に軽快するという興味深い経過をたどっていた.また,本疾患は良性腫瘍であるため腸切除よりは腸切開・ポリープ切除が適切な手術法であると思われた.
索引用語
hamartoma of jejunum, bloody stool, intussusception
日消外会誌 31: 2379-2382, 1998
別刷請求先
宇高 徹総 〒769-1601 香川県三豊郡豊浜町姫浜708 三豊総合病院外科
受理年月日
1998年9月16日
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