症例報告
仮性腸間膜嚢胞の1例
広利 浩一, 山崎 左雪, 河島 秀昭, 原 隆志, 石後岡 正弘, 細川 誉至雄
勤医協中央病院外科
成人の空腸間膜に発生した仮性嚢胞を経験したので報告する.症例は34歳の女性.4年前より腹部腫瘤を自覚していたが,徐々に増大傾向を認めたため,当院を受診.既往歴は外鼠径ヘルニアの手術歴のみであり,明らかな腹部外傷の既往を有していない.腹部超音波およびCTにて径7 cm大の単房性嚢胞を認めた.また腹部MRIにて嚢胞内部の上方はT1WI super high,T2WI high,下方はT1WIおよびT2WI highと二層性を示した.腸間膜嚢胞の診断にて開腹,空腸間膜に径7 cm大の嚢胞を認め,摘出した.嚢胞内容物は黄白色調の粘稠度の高い泥状の液体であった.病理組織学的に仮性嚢胞と診断した.本症の本邦報告例は自験例を含め9例であり,極めてまれな症例と考えられた.
索引用語
mesenteric cyst, pseudocyst, mesentery of the jujunum
日消外会誌 31: 2383-2387, 1998
別刷請求先
広利 浩一 〒653-0041 神戸市長田区久保町2-4-7 神戸協同病院外科
受理年月日
1998年9月16日
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