症例報告
虫垂Crohn病の1例
森田 敏弘, 山内 利夫, 熊沢 伊和生, 堅田 昌弘, 山田 慎, 佐治 重豊*
鷲見病院外科, 岐阜大学第2外科*
虫垂に限局したCrohn病は非常にまれな疾患で,本邦では10例の報告をみるにすぎない.今回,われわれは虫垂Crohn病と診断された1例を経験したので報告する.症例は20歳の男性,右下腹部痛を主訴に当科を受診した.受診時,右下腹部に圧痛,筋性防禦を認めた.腹部超音波,腹部CTで回盲部に腫大した腫瘤陰影を認めた.急性虫垂炎と診断し,緊急開腹術を施行した.虫垂は炎症性に著明に腫大しており,35×30 mmの大きさであった.虫垂腫瘍と診断し,2期的にD2リンパ節郭清を伴う回盲部切除を施行した.術後の病理組織検査で,虫垂に全層性炎症性病変,非乾酪性小型肉芽腫および裂溝が認められ,虫垂Chohn病と診断された.術後経過は順調で,2年経った現在,再発の徴候は認めていない.
索引用語
Crohn's disease of the appendix, Crohn's disease
日消外会誌 31: 2397-2401, 1998
別刷請求先
森田 敏弘 〒501-5121 郡上郡白鳥町2-1 鷲見病院外科
受理年月日
1998年9月16日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|