原著
胃癌における血清CEA, CA19-9の術前および術後の動態に関する検討
坂東 悦郎, 竹下 八洲男, 吉本 勝博, 湊屋 剛, 吉光 裕, 礒部 芳彰
国家公務員等共済組合連合会舞鶴共済病院外科
胃癌手術施行237例を対象に,血清CEAとCA19-9を術前術後に経時的に測定することの意義を検討した.術前の血清CEAおよびCA19-9の陽性率は15.6%,15.6%であった.またStage Iでの陽性率は4.2%,2.5%であった.根治手術症例で,術前術後ともCEA, CA19-9陰性症例の予後は,術後陽性転化群に対してそれぞれ有意に良好であった(p<0.001, p<0.001).また術前陽性群において,術後陰性転化群の予後は,陽性継続群に対して有意に良好であった(p=0.006, p=0.019).根治術後再発例(n=48)で,CEA, CA19-9のcombination assayはsensitivity 73.0%,specificity 90.1%,accuracy 86.0%であった.またLogistic重回帰分析の結果,術後CEA, CA19-9の陽性は,深達度(p=0.023)とともに,再発に対して他の臨床病理学的因子に影響されない独立した因子であった(p<0.001).以上より術前血清CEA, CA19-9の測定は早期診断には有用でないが,術後の経時的測定は再発診断として有用と考えられた.
索引用語
carcinoembryonic antigen, carbohydrade antigen 19-9, early detection for recurrence in gastric cancer
別刷請求先
坂東 悦郎 〒920-0934 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1998年10月14日
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