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第32巻 第1号 1999年1月 [目次] [全文 ( PDF 85KB)]
症例報告

肝原発扁平上皮癌の1例

仲 昌彦, 中村 貴久, 大森 一吉, 南田 猛, 品田 佳秀, 渡辺 佳明

渓和会江別病院外科, 北海道大学医学部第2病理

 肝原発扁平上皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は73歳の男性.糖尿病・高血圧で当院通院中,上腹部痛にて胃内視鏡検査施行し,胃粘膜下腫瘍を認め精査目的に入院した.理学所見,血液検査では特記すべき異常は認められなかった.胃内視鏡検査時の生検結果はグループIであった.CTでは肝外側区と胃小弯前壁間に直径7cmの不整形の腫瘤を認め,また,下大静脈欠損も認めた.血管造影検査では左胃動脈・短胃動脈・後胃動脈より腫瘍血管が認められた.以上より胃粘膜下腫瘍+肝浸潤の診断で胃全摘+肝外側区部分切除術を行った.病理組織学的には肝扁平上皮癌であった.今回,肝原発を積極的に示唆する扁平上皮化生は見られなかったが,術後,転移性肝癌の可能性も考慮し全身検索を行い,他に原発巣となりうる病変が認められなかったことより,肝原発扁平上皮癌と診断した.

索引用語
hepatic squamous cell carcinoma, absence of inferior vena cava

日消外会誌 32: 27-31, 1999

別刷請求先
仲 昌彦 〒060-8638 札幌市北区北15条西7 北海道大学医学部1外科

受理年月日
1998年10月14日

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