原著
食道平滑筋腫に対する治療法の検討
竹村 雅至, 大杉 治司, 徳原 太豪, 高田 信康, 西村 良彦, 福田 淑一, 加藤 裕, 木下 博明, 東野 正幸*
大阪市立大学第2外科, 大阪市立総合医療センター消化器外科*
食道に発生する良性腫瘍は比較的まれであるが,食道平滑筋腫は非上皮性良性腫瘍のなかでも最も多いとされている.また,無症状のものも多く健診時や他疾患に伴って発見されることも多い.過去10年間に当科で経験した食道平滑筋腫14例17病変を対象に本症の診断法および治療法について検討を行った.これら病変は超音波内視鏡検査で全例描出可能で,15病変は内部構造均一な低エコー像として,2病変は不均一なエコー像として認められた.核出術は9例に行い,このうち4例は胸腔鏡下に行った.粘膜筋板より発生したと診断された3例に内視鏡的切除を行った.平滑筋肉腫が強く疑われた1例と筋腫の被覆粘膜に食道癌を伴った1例で食道切除を行った.胸腔鏡下筋腫核出術の術後経過は通常開胸例と差はなく,平滑筋腫に対しては有効な治療法となりうると思われた.また,超音波内視鏡は食道平滑筋腫の治療方針決定に有用であった.
索引用語
leiomyoma of the esophagus, thoracoscopic enucleation for leiomyoma of the esophagus, endoscopic ultrasonography, endoscopic resection for leiomyoma of the esophagus
別刷請求先
竹村 雅至 〒545-8586 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学第2外科
受理年月日
1998年11月13日
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