食道表在癌と他臓器重複癌の検討

金本　彰, 山口　肇, 近藤　仁, 後藤田卓志, 小野　裕之, 日月　裕司¹⁾, 加藤　抱一¹⁾, 渡辺　　寛¹⁾, 中西　幸浩²⁾

国立がんセンター中央病院内科, 同　外科^1）, 同　病理^2）

　1962年から1997年までに経験した359例の組織型が扁平上皮癌であった食道表在癌を対象とし，食道表在癌症例における他臓器重複癌140例（39％）について検討を加えた．
　同時性2臓器重複癌は70例，異時性2臓器重複癌では食道癌先行が10例，他臓器癌先行が37例あり，3臓器以上の重複癌も23例に認めた．重複臓器としては胃が52例と最も多く，次に咽頭が45例と多かった．重複癌症例の5年生存率は67％で，非重複癌症例の77％に比べ，有意に予後不良であった．
　治療成績向上のためには，重複癌の存在を念頭におき，両癌を根治可能な早期段階で診断しうるかが重要であると考えられた．

索引用語
superficial esophageal carcinoma, multiple primary malignancies, esophageal carcinoma associated with other primary cancers, squamous cell carcinoma of the esophagus

別刷請求先
金本　彰　〒110-0024　東京都千代田区神田和泉町1　三井記念病院消化器外科

受理年月日
1998年11月13日

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