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第32巻 第3号 1999年3月 [目次] [全文 ( PDF 129KB)]
症例報告

集学的治療が奏効し長期間生存しているAFP産生胃癌多発肝転移の1例

高橋 直典, 手島 伸, 國井 康男

国立仙台病院外科

 多発性肝転移を伴うAFP産生胃癌の症例に対して集学的治療を行い,5年以上の無再発生存を得ているので報告する.症例は55歳の男性.検診にて胃体部壁の異常を指摘され来院.入院時の胃透視,胃内視鏡にて3'型の胃腫瘍を,超音波検査,CTで肝臓(S4・5, 8)に腫瘍陰影2個を認めた.血中AFP値は1,600ng/mlと上昇していた.手術所見はT2,N1, H2,P0,D1で幽門側胃切除術を施行.術後,肝動脈よりADM,LPDの動注を行い,2週間後に肝部分切除を行ってS4・5,S8の腫瘍を摘出した.切除胃標本の病理学的検査では腺腔形成に乏しい低分化腺癌であり静脈侵襲を認めた.AFP染色では胃および肝臓の腫瘍細胞が陽性に染色され,AFP産生胃癌の肝転移と診断した.術後MTX/5-FU交代療法を開始し,外来で5年半,治療を継続しているが副作用はなく,再発の徴候も認めていない.

索引用語
AFP-producing gastric cancer, multiple liver metastases, cancer chemotherapy

日消外会誌 32: 846-850, 1999

別刷請求先
高橋 直典 〒983-8520 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科

受理年月日
1998年11月13日

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