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第32巻 第3号 1999年3月 [目次] [全文 ( PDF 88KB)]
症例報告

膵頭十二指腸切除後に生じた肝放線菌症の1切除例

草薙 洋, 加納 宣康, 山田 成寿, 笠間 和典, 佐久間 隆

亀田総合病院外科

 52歳の男性.1993年11月に乳頭部癌にて膵頭十二指腸切除術を施行後,再発徴候なく外来にて経過観察していた.1997年5月腹部USにて肝S6に低エコー領域を認めた.同部はCTで境界不鮮明な低濃度領域,MRIのT1強調像で均一な低信号域,T2強調像で周囲が高信号域に描出された.腹部血管造影では明らかな腫瘍濃染像は認めなかった.以上より胆管癌再発などを含めた肝腫瘍の診断にて,7月肝S6を中心とする切除術を施行した.切除標本ではS6に径27mm大の白色調の境界明瞭な病変を認めた.病理組織学的診断断では膿瘍で,内部に細い菌糸の集簇からなるコロニーを認め肝放線菌症と診断した.術後経過は順調で第15病日に退院した.本例は癌切除後に肝腫瘤性病変を認めたため,再発を念頭においたが,病変が単一で限局していたために切除術を施行した.その結果,肝原発放線菌症による膿瘍と判明したまれな1例であり,経胆管的に感染した可能性が高いと考えられた.

索引用語
hepatic actinomycosis, actinomycosis

日消外会誌 32: 856-859, 1999

別刷請求先
草薙 洋 〒296-8602 鴨川市東町929 亀田総合病院外科

受理年月日
1998年11月13日

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