症例報告
巨大胞を形成した肝内胆管癌の1例
河野 修三, 羽野 寛*, 笹屋 一人, 大森 秀一郎, 山崎 洋次**
国立療養所東宇都宮病院外科, 東京慈恵会医科大学病理*, 同 外科**
画像診断で肝胞腺癌と同様の形態を呈した巨大肝胞形成性肝内胆管癌を経験したので報告する.症例は81歳の男性で有痛性腹部腫瘤を主訴に平成9年3月10日に入院した.腹部CT検査で肝左葉に大きなlow density massを認めた.造影CT検査では肝胞性病変内の充実性部分と胞壁が不整にenhanceされた.肝胞腺癌の診断で手術を施行した.被膜を有する腫瘍は82×78×72mmで,肝左葉切除により完全に切除した.組織学的に腫瘍は壊死により大きな胞を形成した肝内胆管癌と診断した.この症例は,画像診断上も発育形式も,肝内胆管癌としては非常にまれで,肝胞腺癌の所見と類似した所見を呈した.このような症例では組織型によって予後や治療方針が規定されるのか,発育様式によって規定されるのかが不明であり,今後の臨床的検討が必要である.
索引用語
cholangiocarcinoma, liver cyst, biliary cystoadenocarcinoma
別刷請求先
河野 修三 〒329-1193 栃木県河内郡河内町下岡本2160 国立療養所東宇都宮病院外科
受理年月日
1998年11月13日
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