CDDP併用5FU療法による胃癌術前化学療法における組織学的，細胞学的検討

鈴木　弘文

千葉大学第1外科

　術前化学療法5FU（FU群30例），CDDP併用5FU（CF群42例）を施行した進行胃癌切除例の抗腫瘍効果と化療後の残存癌細胞核面積（NA），核面積変異係数（NACV）を未治療群（20例）と比較検討した．組織学的効果はFU群（Gr0，9；Gr1a，13；Gr1b，5；Gr2，3．）CF群（Gr0，10，Gr1a，21：Gr1b，5；Gr2，5；Gr3，1．）で差はないが，NAは未治療群（47.6μm²）に対しFU群（Gr0，50.5；Gr1a，58.5；Gr1b，65.2；Gr2，72.6．）は抗腫瘍効果の大きい程高値を示し，CF群（Gr0，70.2；Gr1a，64.2；Gr1b，49.8；Gr2，33.8．）は抗腫瘍効果の大きい程低値を示した．NACVは，両群間ともGr1b以上で高値を示した．｛未治療群（27.0％），FU群（Gr0，27.9；Gr1a，30.7；Gr1b，38.4；Gr2，30.5．）CF群（Gr0，32.1；Gr1a，34.6；Gr1b，50.8；Gr2，50.3．）｝すなわちCF群では，組織学的効果が少ない症例は核の膨化が主にみられ，Gr1b以上では核の濃縮，破砕が出現しばらつきが大きくなっていることが判明した．これらの変化は5FUとCDDPの併用効果が反映されたものと考えられた．

索引用語
gastric cancer, preoperative chemotherapy, combination chemotherapy with 5FU and low dose CDDP, biochemical modulation

別刷請求先
鈴木　弘文　〒277-8577　柏市柏の葉6-5-1　国立がんセンター東病院消化器外科

受理年月日
1998年12月9日

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