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第32巻 第4号 1999年4月 [目次] [全文 ( PDF 63KB)]
原著

胃全摘再建術におけるRoux-en-Y法と空腸パウチ・ダブルトラクト法の臨床的評価

近藤 泰理, 梶浦 泰生1), 中村 健司, 宮治 正雄, 生越 喬二, 田島 知郎, 幕内 博康2)

東海大学医学部付属東京病院外科1), 東海大学医学部外科2)

 根治度A, Bの胃全摘を行った胃癌24症例を対象として再建法の術後評価を行った.空腸パウチ・ダブルトラクト再建(以下,JPD)9例とRoux‐en‐Y再建(以下,R-Y)15例に縫合不全はなかった.再建法は根治度A, BをJPDの適応としたが最終的には主治医の判断によった.周術期経過はJPDに器械吻合器を使用したことで手術時間が短縮した.術後経過を総合的進行程度Ia, Ib, IIのJPD 6例,R-Y 11例について術後3年まで検討した.白血球数,リンパ球,ヘモグロビン値,総蛋白値,アルブミン値,総コレステロール値はR-Y, JPDともほぼ正常範囲内の経時的変動であり再建法による差がなかった.体重減少率は3か月以降2年までR‐Yの11.3±2.9~15.6±3.9%に比べてJPDは4.5±6.5~6.1±5.5%と有意に低値を示した.以上よりJPDは器械吻合器の使用で手術時間が短縮し,R-Yに比べて術後の血液検査に差がなかったが,術後の体重減少率が少ない有用な胃全摘再建術であると考えられた.

索引用語
nutrition, jejunal pouch, double tract reconstruction, Roux-en-Y reconstruction, total gastrectomy

日消外会誌 32: 978-982, 1999

別刷請求先
近藤 泰理 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-2-5 東海大学医学部付属東京病院外科

受理年月日
1998年12月9日

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