原著
血管新生阻害剤FR-118487の持続肝動脈内注入による大腸癌術後肝転移抑制に関する実験的研究
上岡 路明
岡山大学医学部第2外科学教室(指導:清水信義教授)
VX2腫瘍を用いた家兎大腸癌モデルで,血管新生阻害剤FR-118487(FR)の持続肝動脈内投与の肝転移再発抑制効果について検討した.大腸癌原発巣を切除後,A群:プロピレングリコール(PG)持続肝動注群,B群:FR持続肝動注群,C群:PG持続門注群,D群:FR持続門注群の4群間で肝転移抑制効果について比較検討した.B群の60%,D群の29%では,肝転移は全く認めなかった.肝転移個数は,B群が少なかったが,各群間に有意差は認めなかった.肝転移重量も,B群が最も少なく,A群とB群の間(p<0.01),C群とD群の間(p<0.05)に有意差を認めた.第VIII因子関連抗原抗体を用いた免疫染色にて比較検討した腫瘍内微小血管密度は,B群が最も少なく,また,FR投与群は対照群より有意に少なかった(p<0.05).以上より,FRの転移抑制効果は血管新生を抑制することによりもたらされたと考えられた.
索引用語
angiogenesis inhibitor FR-118487, liver metastasis from colon cancer, continuous intraarterial infusion, factor VIII related antigen, microvessel density
別刷請求先
上岡 路明 〒700-0914 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第2外科
受理年月日
1998年12月9日
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