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第32巻 第4号 1999年4月 [目次] [全文 ( PDF 112KB)]
症例報告

胃癌と上行結腸癌に対して胃内視鏡的凝固療法と結腸右半切除術を施行した骨髄異形成症候群の1例

戸塚 統, 大和田 進, 小川 哲史1), 福里 利夫2), 竹吉 泉, 佐藤 啓宏, 森下 靖雄1)

群馬大学医学部第2外科1), 同 附属病院病理部2)

 症例は73歳の男性で,右下腹部痛を主訴に近医を受診し,早期胃癌と上行結腸進行癌と診断され,紹介入院となった.著明な汎血球減少があり,骨髄穿刺で骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)のrefractory anemia with excess of blasts in transformationと診断された.結腸癌に対し開腹手術を行った.結腸癌は膿瘍を形成し腹壁まで浸潤していたため,腹壁の一部と膿瘍を含めた結腸右半切除術を施行した.病理組織学的にはss,ly0,v0,n0,stage IIであった.周術期を準無菌室で管理し,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は投与せず,白血球除去赤血球と濃厚血小板の輸注および抗生剤を投与した.術後出血や感染などの合併症はなく退院した.術後1か月,胃癌に対し内視鏡的治療を施行した.結腸癌手術から3か月目に肺炎からの敗血症で死亡した.MDSと同時期に発見された他臓器癌に対する手術症例は少なく,文献的考察を加えて報告した.

索引用語
myelodysplastic syndrome, double cancer, surgery

日消外会誌 32: 1007-1011, 1999

別刷請求先
戸塚 統 〒371-8511 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部第2外科

受理年月日
1998年12月9日

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