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第32巻 第4号 1999年4月 [目次] [全文 ( PDF 52KB)]
特集

遠隔成績とQOLから見た膵管癌拡大郭清の意義と限界

大東 弘明, 石川 治, 佐々木 洋, 村田 幸平, 安田 卓司, 亀山 雅男, 平塚 正弘, 甲 利幸, 古河 洋, 今岡 真義

大阪府立成人病センター外科

 膵癌切除において,膵後腹膜側結合織や神経叢の厳重郭清(D2α)は,D1では8%であった5年生存率を24%へ有意に改善した.D1郭清では5年生存例はn0症例に限られたが,D2α郭清ではn(+)例でも12%の5年生存率が得られるようになった.また,stage III,IV症例の5生率をおのおの9から29%,0から3%へ有意に改善した.D2αに肝転移防止を目的とした2-Channel療法を付加すると肝転移は有意に減少し,stage IV症例の5年生存率を3%から20%に改善し,D2α郭清単独では得られなかったt3症例にも2例(22%)の5年生存例を認めた.D2α郭清による術後QOLの変化を無再発3年生存33例について検討した.体重減少や下痢による障害がQOL低下の主因であったが,アンケート調査(23例)では2年以内に80%の症例でこれらの障害は解消され,全例が体力の回復を確信できていた.D2α郭清ではstage IV症例の68%は術後の全身状態が十分回復しない2年以内に再発死亡しており,単に切除のみではQOLの面からも合理的な治療法とはなりえず,肝転移と局所再発防止のための併用療法が不可欠である.

索引用語
quality of life in long-term survivors, extended pancreatectomy, perioperative adjuvant treatment

日消外会誌 32: 1094-1097, 1999

別刷請求先
大東 弘明 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科

受理年月日
1999年1月27日

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