特集
浸潤性膵管癌の治療成績の検討
今山 裕康, 木下 壽文, 奥田 康司, 原 雅雄, 福田 秀一, 酒井 丈典, 佐島 秀一, 橋本 光生, 江里口 直文, 中山 和道*
久留米大学医学部外科学, 聖マリア学院短期大学*
1965年から1997年12月までの浸潤性膵管癌の治療成績から膵管癌に対する治療法の妥当性を検討した.切除例の50%生存期間,1年,3年生存率は1.00年,50.0%,17.4%,非切除例は0.39年,10.6%,0.7%で切除例が有意(p<0.001)に有好であった.切除例のstage別生存率と非切除例の生存率を比べるとstage I~IVaで有意差があったが,stage IVbでは有意差はなかった.根治度別生存率に差がみられ少なくとも根治度B以上の切除を行うことが重要であった.stage IVaで郭清度別生存率に有意差があった.IORTの有無による生存率に差はなかった.したがって,膵管癌に対する治療方針として1)stage I~IIIでは根治度B以上の切除を得ることが大切で拡大手術を考慮する.2)stage IVaでは根治度B以上が得られるなら拡大手術を行うが,得られない場合は非切除とする.2)stage IVbでは外科的切除を行わず,他の集学的治療を考慮する.
索引用語
surgical result of pancreatic adenocarcinoma, extended operation, intraoperative radiation therapy
日消外会誌 32: 1098-1102, 1999
別刷請求先
今山 裕康 〒830-0011 久留米市旭町67 久留米大学医学部外科
受理年月日
1999年1月27日
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