特集
浸潤性膵管癌に対する拡大手術の適応と限界:長期予後とQOLからみた進行膵癌の治療戦略
伊佐地 秀司, 長沼 達史, 川原田 嘉文
三重大学第1外科
1976年9月~1998年8月までの浸潤性膵管癌手術172例中切除は84例(48.8%)であった.1981年4月までの標準手術を行った初期34例,1981年5月~93年3月までの拡大手術を行った中期100例,1993年4月~98年8月までのQOLを考慮し準標準手術を行った後期38例に分け拡大手術の適応と限界を検討した.切除率は初期32.4%,中期54%,後期50%で,治癒切除率はそれぞれ9.1%,68.5%,63.2%であった.3,5年生存率は初期9.1%,0%,中期18.1%,13.5%,後期36.4%,25.8%と年代とともに向上した.Stage IV症例では拡大手術を行っても非治癒切除となったものはbypass手術と術後生存期間に差はなかったが,入院期間は拡大手術で著明に長くQOLは損なわれた.以上より,進行膵癌に対してはすべてに拡大手術を施行すべきではなく,非治癒切除が予想される症例ではQOLを考慮してbypass手術を選択すべきである.
索引用語
extended operation, palliative operation, biliary bypass with antrectomy or gastric partition
日消外会誌 32: 1127-1131, 1999
別刷請求先
伊佐地 秀司 〒514-8507 津市江戸橋2-174 三重大学医学部第1外科
受理年月日
1999年1月27日
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