原著
肝切除術後の残肝機能評価としてのアポ蛋白Bの有用性
桂巻 正, 平田 公一, 荒谷 純, 松野 孝, 永山 稔, 木村 仁, 磯部 将人, 古畑 智久, 高島 健, 向谷 充宏
札幌医科大学医学部外科学第1講座
肝切除後の血中アポ蛋白Bを測定し,術後肝機能の評価としての有用性を検討した.1997年1月から1998年6月までの当科で施行された肝切除症例のうち,術前・術後にアポ蛋白Bと総ビリルビン(T. Bil),albumin,ICG 15分,lectin-cholesterol acyl transferase(LCAT),prealbuminの各値を測定し,その解析が可能と判断された32例を対象とした.施行した術式の内訳は肝部分切除6例,肝亜区域切除8例,1区域切除4例,2区域切除14例であった.全症例が耐術し肝不全の発症はなかった.術式間で術後アポ蛋白Bの推移に有意差はなかった.術後7日目のアポ蛋白BとLCAT,prealbumin,T. Bilとはそれぞれ有意な相関を認め(r=0.847,r=0.665,r=-0.442),ICG15分およびalbuminとは有意な相関はなかった.以上よりアポ蛋白Bは肝切除後の肝機能回復の有用な指標になると思われた.
索引用語
hepatectomy, apolipoprotein B, postoperative hepatic function
日消外会誌 32: 1166-1172, 1999
別刷請求先
桂巻 正 〒060-8543 札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学医学部外科学第1講座
受理年月日
1999年1月27日
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