原著
絞扼性イレウスにおける補助診断としてのSIRS判定の有用性
阪本 雄一郎, 伊山 明宏, 佐藤 清治, 宮崎 耕治
佐賀医科大学一般・消化器外科
1982年から1997年までの16年間に経験した絞扼性イレウス手術症例35例と癒着性イレウス手術症例41例を対象とし,retrospectiveにsystemic inflammatory response syndrome(SIRS)判定の有用性を検討した.絞扼性イレウス症例を初診時SIRS群,経過観察中SIRS移行群,非SIRS群に分類し,腸管壊死との関連を検討した.また,同様に分類したSIRS判定を癒着性イレウス症例にも行い比較した.絞扼性イレウス症例において,初診時SIRS群の94.7%,SIRS移行群の66.7%は,手術施行時すでに腸管壊死に陥っており,両群の壊死腸管の平均長は129cmであった.非SIRS群にも30%に腸管壊死を認めたが,壊死腸管の平均長は24cmにすぎなかった.癒着性イレウスの初診時SIRS群は2.3%であった.SIRS判定は,絞扼性イレウスの補助診断として有用で,特にSIRSの有無は壊死腸管の長さを反映することが示唆された.
索引用語
SIRS, strangulated bowel obstruction
日消外会誌 32: 1179-1183, 1999
別刷請求先
阪本雄一郎 〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 佐賀医科大学一般・消化器外科
受理年月日
1998年12月9日
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