原著
便潜血反応陽性を契機に発見された大腸癌の臨床病理学的特徴
中江 史朗, 石川 羊男, 国安 哲矢, 小西 宗治, 金田 邦彦, 河村 貴, 寒原 芳浩, 河野 範男, 中谷 正史
兵庫県立成人病センター外科
便潜血陽性で発見された大腸癌101例と有症状の大腸癌578例を臨床病理学的に比較した.便潜血群は増加傾向にあり,有症状群は最近6年間でほぼ同数であった.便潜血群の結腸・直腸比は67.3%・32.7%で,有症状群の52.8%・47.2%に比べて結腸が有意に高率であった(p<0.01).便潜血群の5生率90.8%は,有症状群の60.5%より高かった(p<0.0001).有症状群で深達度mpまでの癌は右側結腸8.5%,左側結腸17.1%,直腸35.9%で,右側結腸では直腸より有意に低率で(p<0.001),左側結腸に対しても低率の傾向であった.便潜血群ではmpまでの比率はどの部位でも50%以上であった.mpまでの癌で便潜血群の比率は,右側結腸64.0%,左側結腸34.6%,直腸19.7%で,口側ほど高率であった.以上より便潜血検査がさらに普及することで診断の遅れやすい右側結腸癌の予後向上が期待できると考えられた.
索引用語
fecal occult blood test, mass screening test for colorectal cancer
日消外会誌 32: 1184-1191, 1999
別刷請求先
中江 史朗 〒673-8558 明石市北王子町13-70 兵庫県立成人病センター外科
受理年月日
1999年1月27日
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