症例報告
OK-432とミノサイクリンの胸腔内投与が有効であった食道癌切除後の乳糜胸の1例
西 宏之, 仲原 正明, 荻野 信夫, 中尾 量保, 李 千万, 辻本 正彦*
大阪警察病院外科, 同 病理*
食道癌切除後の乳糜胸に対し,OK-432とミノサイクリンの投与が有効であった1例を経験した.患者は62歳の男性.胸部中下部食道癌に対し右開胸開腹にて胸腹部食道切除,胸腔内食道胃管吻合,リンパ節郭清を施行した.第1病日より右胸腔ドレーンから1,400~2,000ml/日の排液を認めた.摂食にて排液は白濁し,乳糜胸と診断.排液量が減少しないため,第13病日より3日間,胸腔内にOK-432 10KEとミノマイシン200mgを投与した.排液は著減し,リンパ管造影にてTh10で造影剤の途絶を確認した.第18病日に胸腔ドレーンを抜去した.隔壁化された胸水の貯留を認めたが,徐々に減少し,第51病日には胸水をほとんど認めなくなった.食道癌切除後の乳糜胸に対する胸膜癒着療法の本邦報告例は4例で,排液は500~2,200ml/日,第11~20病日に胸膜癒着剤が投与され,全例治癒していた.
索引用語
chylothorax, esophageal cancer, pleurodesis
日消外会誌 32: 1203-1207, 1999
別刷請求先
西 宏之 〒543-8502 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科
受理年月日
1998年12月9日
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