症例報告
無黄疸で発見された粘膜内胆管癌の1例
黒木 嘉人, 小田切春洋, 坂本 隆*, 塚田 一博*
国民健康保険神岡町病院外科, 富山医科薬科大学第2外科*
黄疸の発症する前の胆管癌の早期診断はいまだ困難であるが,今回,我々は初診時に無黄疸の粘膜内胆管癌の1例を経験した.症例は72歳の女性.火事による気道,角膜熱傷などにて当院に入院したが,入院時検査から持続する肝胆道系酵素の上昇を認めた.USとCTにて下部胆管に腫瘤像を認め,ERCPにて4.5cm長の結節集簇様の陰影欠損を認めた.全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行し,術中操作にて腫瘍は一部脱落したが,切除標本では乳頭状に増殖する連続性のない2個の病変(1.2×1.2cm,1.8×0.9cm)が見られた.病理組織像はいずれも粘膜内に限局した乳頭腺癌であった(pap,m,med, INFα,ly0,v0,pn0,hinf0,ginf0,panc0,du0,pv0,a0,n(-),hm0,dmo,em0,t1,stage I, curA).術後17か月現在,再発なく外来通院中である.
索引用語
early bile duct carcinoma, no jaundice of bile duct carcinoma, papillary adenocarcinoma of bile duct
日消外会誌 32: 1217-1221, 1999
別刷請求先
黒木 嘉人 〒506-1111 岐阜県吉城郡神岡町大字東町725 国民健康保険神岡町病院外科
受理年月日
1998年12月9日
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