症例報告
穿孔部の切除縫合閉鎖で軽快した腸管型Behçet病の1治験例
廣瀬 昌博, 横田 友弥, 杉田 敦郎*, 村尾 眞一*, 河内 寛治**
町立野村病院外科, 愛媛大学第1病理*, 愛媛大学第2外科**
症例は26歳の男性.発熱,咽頭痛を主訴に当院内科入院.初診時より口腔内アフタおよび前胸部の毛嚢炎様皮疹を認めていた.第5病日突然右下腹部痛を認め,翌日,消化管穿孔の診断で手術を施行した.手術所見で病変は盲腸から上行結腸に2か所の穿孔部を認めた.手術は同部を正常部を含めて切除し,単純縫合閉鎖とした.病理組織学的検査ではpunched outと称されるperforated ulcerで,周辺は非特異的炎症所見を認めた.術後網膜ブドウ膜炎とHLA-B51が陽性であったことから,腸管型Behet病と診断した.術直後よりステロイドとサラゾピリンを使用し,栄養は中心静脈栄養に頼らず,術後経過は概ね良好であった. 従来,腸管型Behet病の腸管穿孔における手術法は,1mの回腸を含む右半結腸切除が最適とされてきた.しかし,本例から穿孔部の部位や数・大小にもよるが,術式は単純縫合閉鎖など最小限にとどめるのも良策であることが示唆された.
索引用語
intestinal Behet's disease, surgical indication for intestinal Behet's disease, minimal surgical procedure
日消外会誌 32: 1222-1226, 1999
別刷請求先
廣瀬 昌博 〒723-8686 三原市皆実3-3-28 興生総合病院外科
受理年月日
1999年1月27日
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