症例報告
門脈ガス血症を呈した結腸腸管嚢腫様気腫症の1手術例
宇高 徹総1)2), 堀 堅造1), 安藤 隆史1), 辻 和宏1), 三谷 英信1), 山根 正修1), 浜崎 美景3)
屋島総合病院消化器病センター外科1), 三豊総合病院外科2), 三豊総合病院病理3)
門脈ガス血症は種々の消化器疾患に併発して出現する比較的まれな病態で,予後の不良の徴候とされている.今回われわれは,門脈ガス血症を呈した結腸腸管嚢腫様気腫症の手術により救命しえた1例を経験したので報告する. 症例は75歳の女性で,突然発症した右下腹痛を主訴に来院した.腹部CTで肝の左右両葉に肝内門脈に沿って樹枝状陰影に広がるair density areaを認めた.また,盲腸,上行結腸,横行結腸の腸管壁内に気腫像を認めた.門脈ガス血症を呈した結腸腸管嚢腫様気腫症と診断した.症状が急速に増悪したため,発症から12時間後に緊急手術を施行した.盲腸から横行結腸まで嚢腫様気腫性変化を認め,右半結腸切除術,回腸瘻および横行結腸瘻を造設した.術後経過良好にて,回腸瘻,横行結腸瘻閉鎖術および回腸横行結腸吻合術を施行し,初回手術後より79回目に軽快退院した.
索引用語
pneumatosis coli, hepatic portal venous gas
日消外会誌 32: 1227-1230, 1999
別刷請求先
宇高 徹総 〒769-1695 香川県三豊郡豊浜町姫浜708 三豊総合病院外科
受理年月日
1998年12月9日
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