臨床経験
肝鎌状動脈を認めた3例
江畑 智希, 宮田 完志, 服部 龍夫, 小林 陽一郎, 加藤 真, 米山 文彦, 竹内 英司
名古屋第一赤十字病院外科
肝鎌状動脈を認めた3例を経験したので報告する.頻度は腹部血管造影156例のうち1.9%であった.肝動注化学療法を施行する際は本動脈の処理を行うべきである. 症例1:乳癌肝転移にて施行した血管造影で左肝動脈より分岐する肝鎌状動脈を認めた.肝動脈CTで内側枝・外側前枝の分岐部から腹側に向かい,その後腹直筋直下を臍方向に走行する肝鎌状動脈が描出された. 症例2:小腸平滑筋肉腫の肝転移にて施行した血管造影で中肝動脈から臍方向に走行する肝鎌状動脈を認めた.選択的造影では深下腹壁動脈との吻合が描出された.肝動注化学療法の前に塞栓術を施行した. 症例3:胆嚢癌の診断で施行した血管造影で肝鎌状動脈が描出されたため,手術時に肝鎌状間膜,肝円索を採取した.病理組織学的に外膜が肥厚した径1mmの動脈を認めた.
索引用語
hepatic falciform artery, round ligament
日消外会誌 32: 1231-1234, 1999
別刷請求先
江畑 智希 〒453-8511 名古屋市中村区道下町3-35 名古屋第一赤十字病院外科
受理年月日
1999年1月27日
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