原著
消化管・胆道シンチグラフィーによる幽門保存胃切除術後の幽門機能評価
稲田 高男, 尾形 佳郎, 山本 聖一郎, 安藤 二郎, 尾澤 巌, 松井 淳一, 菱沼 正一, 清水 秀昭, 固武 健二郎
栃木県立がんセンター外科
幽門保存胃切除例(pylorus preserving distal gastrectomy:以下,PPDGと略記)8例を対象として,消化管・胆道シンチグラフィーによる術後機能評価を行い,早期胃癌術前症例および通常の幽門側切除,Billroth-1法吻合症例(以下,B-1と略記)との比較を行った.胆道シンチグラフィーによる胆汁排泄開始時間はPPDG群,術前群,B-1群において有意な差異は認められなかった.また胆汁の残胃内逆流は,B-1では40%以上に認められるのに対し,PPDG群では術後6か月,1年ともに,術前群と同様に認められなかった.消化管シンチグラフィーによる食物の胃からの排出は,PPDG群では術後6か月において,術前群,B-1群と比べて有意な停滞が認められるものの,術後1年の比較では,B-1群と差が認められず,幽門機能の経時的な回復が示唆された.
索引用語
gastrointestinal and biliary scintigraphy, pylorus-preserving distal gastrectomy
日消外会誌 32: 1969-1973, 1999
別刷請求先
稲田 高男 〒320-0834 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科
受理年月日
1999年2月24日
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