十二指腸乳頭部癌への縮小手術に関する検討

松本　岳, 土屋　誉, 荒井　浩介, 安西　良一, 高橋　正倫, 藤田　直孝^＊, 野田　裕^＊, 山崎　匡

仙台市医療センター仙台オープン病院外科, 同　消化器内科^＊

　早期乳頭部癌を念頭においた適正な縮小手術とその適応基準を，36切除症例を病理組織学的所見と術後治療成績から検討した．有意差（p<0.05）を生じる予後因子は膵臓浸潤，リンパ節転移，肉眼型，リンパ管侵襲であり，du₀，t₁，stage I症例の5年生存率はいずれも100％であった．膵臓浸潤と肉眼型の術前検査法として超音波内視鏡と内視鏡検査があり，おのおの予後良好群PANC₀と非潰瘍形成型を診断可能である．panc₀かつ非潰瘍形成型であった17症例では，早期癌かつstage Iの症例が12例（71％），stage II症例が5例（29％）であった．これら17例ではリンパ節転移と再発死亡が認められなかったことから，PANC₀かつ非潰瘍形成型と術前診断された症例には，D₁郭清の幽門輪温存膵頭十二指腸切除術もしくは膵頭十二指腸第II部切除術が適切な縮小術式と考えられた．しかし，21％にstage II症例が含まれたことから，乳頭切除術まで適応を広げることは困難と思われた．

索引用語
ampullary carcinoma, invasion to the pancreas, macroscopic appearance, endoscopic ultrasonography, minimum invasive surgery

別刷請求先
土屋　誉　〒983-0824　仙台市宮城野区鶴ケ谷5-22-1　仙台市医療センター仙台オープン病院外科

受理年月日
1999年2月24日

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