症例報告
食道癌術後再建胃管に発生した未分化癌の1例
大澤 武, 岩瀬 孝明, 川上 卓久, 松井 一裕*
北陸中央病院外科, 富山医科薬科大学第1病理*
食道癌の重複癌は胃癌と頭頸部領域癌が多く,食道癌手術の遠隔成績の向上に伴い,胃管癌の報告が増加している.われわれは食道癌術後再建胃管に発生した未分化癌の1例を経験したので報告する.症例は75歳の男性.1995年4月に胸部中部食道~腹部食道にかけての食道癌に対して右開胸開腹胸部食道全摘・RII,胸骨後食道胃吻合術を行った.1年8か月後の1996年12月頃から嚥下困難を自覚し,1997年5月1日に入院し精査したところ,胃管前庭部前壁に亜有茎性・分葉状のBorrmann 1型腫瘍を認めた.術前生検診断では充実性低分化腺癌であった.6月26日に上行結腸による食道再建を伴う胃管全摘術を行った.術後病理診断は免疫組織染色の結果,未分化癌と診断された.現在,多発性肺転移・肝転移が認められ,化学療法を行い,経過観察中である.食道癌術後再建胃管に対して定期的な内視鏡検査を行い,早期の胃管癌の発見に努める必要がある.
索引用語
carcinoma of the gastric tube, undifferentiated carcinoma of the stomach
日消外会誌 32: 1986-1990, 1999
別刷請求先
大澤 武 〒920-0934 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1999年1月27日
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