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第32巻 第7号 1999年7月 [目次] [全文 ( PDF 87KB)]
症例報告

回腸動脈瘤破裂を来したEhlers-Danlos症候群IV型の1例

藤田 博文, 上坂 邦夫, 村尾 眞一

公立和田山病院外科, 神戸大学第2病理

 Ehlers-Danlos症候群(以下,EDS)IV型は出血型,動脈型として知られ,動脈性出血や消化管穿孔を起こし死亡率が高い.今回,腹腔内出血にて発見されたEDS IV型の1例を経験したので報告する.症例は49歳の男性.1997年12月5日頃より右下腹部痛,下痢が出現,12月8日当科受診後,入院となる.入院時,腹部CT検査にて腹腔内出血を認め緊急手術を施行した.術中所見にて回腸腸間膜に母指頭大の腫瘤を認め同部よりの出血が確認されたため腫瘤を含む小腸部分切除術を施行した.腹腔内出血量は1,144mlであった.術後病理診断は回腸動脈瘤破裂であった.症例は大動脈弁閉鎖不全症,脊柱側弯症,皮膚の過伸展,関節の過可動性を有しておりEDS IV型の回腸動脈瘤破裂による腹腔内出血と最終的に診断された.EDS IV型の本邦報告例は自験例を含め31例に過ぎず,さらに腹腔内出血の報告は無くきわめてまれであると考えられた.

索引用語
Ehlers-Danlos syndrome type IV, ileal artery aneurysm rupture, intraperitoneal hemorrhage

日消外会誌 32: 2020-2024, 1999

別刷請求先
藤田 博文 〒669-5252 兵庫県朝来郡和田山町竹田2021 公立和田山病院外科

受理年月日
1999年2月24日

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