症例報告
リンパ節転移を認めた腫瘍径2cm未満の直腸smカルチノイドの2例
永野 靖彦, 池 秀之, 小松 茂治, 岩田 誠一郎, 安藤 浩, 郷 克巳, 高橋 正純, 杉田 昭, 大木 繁男, 嶋田 紘
横浜市立大学医学部第2外科
症例1:42歳の女性.下部直腸に1cmのIsp型ポリープを認めポリペクトミーを施行した.組織診断はカルチノイド,深達度sm,断端陽性および脈管侵襲陽性であったため,超低位前方切除術を施行した.病理診断で直腸傍リンパ節転移を認めた.症例2:61歳の男性.直腸に0.8cmのIsp型のカルチノイドを認めポリペクトミーを施行した.病理診断は深達度sm,断端陽性および脈管侵襲陽性であったため,超低位前方切除術を施行し,直腸傍リンパ節に1個転移を認めた.リンパ節転移を認めた腫瘍径 2cm未満のsmカルチノイドは自験例を含め18例が報告されている.これらの91.7%に脈管侵襲が陽性であり,脈管侵襲は転移の危険因子であると考えられた.治療は 5mm未満では内視鏡的切除を,それ以上では局所切除を施行し,病理組織所見で脈管侵襲陽性またはsm2 以上の症例はD2 以上のリンパ節郭清を伴う根治切除術が必要と考えられた.
索引用語
rectal carcinoid, lymph node metastasis of rectal carcinoid
日消外会誌 32: 2045-2049, 1999
別刷請求先
永野 靖彦 〒232-0024 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部附属浦舟病院第2外科
受理年月日
1999年2月24日
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