原著
胃食道逆流症診断における食道内ビリルビンの経時的測定の意義
大杉 治司, 東野 正幸, 徳原 太豪, 綛野 進, 高田 信康, 西村 良彦, 竹村 雅至, 船井 隆伸, 奥田 栄樹, 木下 博明
大阪市立大学第2外科
胃食道逆流症評価における食道内ビリルビン測定の意義を,逆流愁訴を有する24例と無愁訴5例を対象にpH測定と比較検討した.ビリルビン測定にはBilitec 2000を用い,吸光度0.15以上をビリルビン逆流とし,観察時間に対する逆流の百分率を%timeとした.無愁訴例の%timeはともに5%以下であり,有愁訴例中,上部消化管に器質的病変のない3例では酸逆流は5%以下であったが,2例で8%以上のビリルビン逆流を認めた.逆流性食道炎を認めた21例中,胃切除後の4例では全例にビリルビン逆流を認めた.他の17例では食道炎の重症度によって酸逆流に差はなかったが,ビリルビン逆流の%timeに有意の差を認めた.食道内アルカリ化とビリルビン逆流に相関はなかった.食道内ビリルビン逆流測定は胃食道逆流症の診断・重症度評価に有用で,特にachlorhydriaや酸逆流軽度例に診断的意義があると思われた.
索引用語
gastroesophageal reflux, bilirubin monitoring, pH monitoring
日消外会誌 32: 2051-2057, 1999
別刷請求先
大杉 治司 〒545-8585 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 大阪市立大学第2外科
受理年月日
1999年3月31日
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