症例報告
T細胞型胃原発悪性リンパ腫の1例
間中 浩, 国崎 主税, 市川 靖史, 金谷 洋, 松村 奈緒美, 山岡 博之, 嶋田 紘, 中谷 行雄*, 北村 均*
横浜市立大学医学部第2外科, 同 病理部*
症例は食欲不振を主訴とした77歳の女性.4型胃癌の診断で当科に入院した.上部消化管造影検査では胃のMC領域に巨大な皺壁の肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査では全周性の皺壁肥厚と白苔を伴う易出血性の潰瘍を認め,生検から悪性リンパ腫(びまん性中細胞型)と診断された.N4,SI,stage III(Naqvi分類)の診断で術前にcyclophosphamide,adriamycin,vincristine,prednisolone療法(以下,CHOP療法と略記)を2クール施行した.化学療法後,腫瘍の縮小傾向を認めたが腫瘍からの出血があったため平成8年2月20日胃全摘術,膵脾合併切除術,D2郭清を施行した.根治度はCであった.患者は術後10か月で全身リンパ節転移により死亡した.T細胞型胃悪性リンパ腫の発生頻度はまれで,化学療法が奏功しにくく,治療方針も確立していない.本疾患は有効な化学療法の確放が予後を改善すると考えられた.
索引用語
chemotherapy for malignant gastric lymphoma, T-cell type of malignant gastric lymphoma
日消外会誌 32: 2100-2104, 1999
別刷請求先
間中 浩 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1999年3月31日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|