症例報告
EBウイルス陽性十二指腸癌を合併した3重複癌(胃癌・十二指腸癌・大腸癌)の1切除例
八木 美徳, 瀬下 明良, 三橋 牧, 荒武 寿樹, 山竹 正明, 藤田 竜一, 曽山 鋼一, 小川 真平, 亀岡 信悟
東京女子医科大学第2外科
症例は74歳の男性.下血を主訴に来院.胃前庭部後壁に0-IIa+IIcの早期胃癌と十二指腸球部後壁に2'型の腫瘍を認めた.また,大腸内視鏡検査にて上行結腸に2'型の癌性潰瘍を認め,胃癌,十二指腸癌,上行結腸癌の同時性3重複癌の診断にて手術を施行した.術式は広範囲幽門側胃切除術,上行結腸部分切除術を行った.病理検査では胃:papillary adenocarcinoma,十二指腸:moderately differentiated adenocarcinoma,上行結腸:moderately differentiated adenocarcinomaであった.十二指腸の組織像はいわゆるwith lymphoid stroma様の所見があり,LMP-1免疫染色,EBER in-situ hybridizationにて多くの癌細胞に陽性であり,EBウイルスとの関連が示唆された.胃癌におけるEBウイルスとの関連は報告されているが,検索しえた範囲内では十二指腸癌においてEBウイルスとの関連を報告したものはなく,また十二指腸癌を合併した同時性3重複癌は本邦11例目の報告となる.
索引用語
synchronous triple cancer, primary duodenal cancer, Epstein-Barr virus (EBV)
日消外会誌 32: 2110-2114, 1999
別刷請求先
八木 美徳 〒162-8666 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学第2外科
受理年月日
1999年3月31日
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