症例報告
CA19-9産生Meckel憩室癌の1切除例
大城 望史, 田中 恒夫, 板本 敏行, 時田 大輔, 山崎 浩之, 大石 幸一, 木村 まり, 藤高 嗣生, 住元 一夫, 福田 康彦
県立広島病院一般外科
症例は63歳の男性で,主訴は下血.血清CA19-9異常高値(830U/ml),CT,Gaシンチなどから,悪性腸間膜腫瘍を疑い開腹した.回盲部より80cmの部位にMeckel憩室を認め,同部に腫瘍および腸間膜リンパ節の腫脹を認めたため,リンパ節郭清を含めた回腸切除を行った.病理組織学的にはMeckel憩室から発生した中分化型腺癌で,憩室内には迷入組織を認めなかった.術後血清CA19-9は速やかに低下し,また抗CA19-9抗体を用いた免疫染色で陽性であり,CA19-9産生腫瘍と診断した.Meckel憩室癌は本邦22例目と極めてまれである.本症は予後不良であるが,自験例は1年6か月経過した現在も再発の兆候を認めず,CA19-9の上昇も認めていない.
索引用語
carcinoma of Meckel's diverticulum, carbohydrate antigen 19-9 producting carcinoma
日消外会誌 32: 2144-2148, 1999
別刷請求先
大城 望史 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第2外科
受理年月日
1999年2月24日
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