免疫栄養学的観点からみた食道癌術後呼吸器合併症の危険因子

国崎　主税, 高橋　正純, 森脇　義弘, 秋山　浩利, 國廣　理, 藤井　義郎, 野村　直人, 嶋田　紘

横浜市立大学医学部第2外科

　右開胸開腹により切除し，胸骨後で亜全胃再建術を施行した26例を対象に免疫，栄養学的観点から術後呼吸器合併症（n=5）の危険因子を検討した．単変量解析：合併症群では間接熱量測定計による消費栄養基質の測定で脂肪が有意に増加し，炭水化物，蛋白が有意に減少した．呼吸機能ではFEV_1.0/m²が有意に低下した．ロジスティック回帰分析：脂肪の消費割合，手術時間，α₁-antitrypsin（α₁-AT），retinol binding proteinが順に有意な危険因子として選択された．術前から脂肪異化に傾き，潜在的飢餓状態にある症例やprotease inhibitorであるα₁-ATが低下している症例に過大な侵襲を加えると術後呼吸器合併症が発生しやすいものと考えられた．栄養代謝を改善し，免疫能を賦活する術前栄養管理が重要と考えられた．

索引用語
esophageal cancer, postoperative morbidity, immunonutrition, risk factor

別刷請求先
国崎　主税　〒236-0004　横浜市金沢区福浦3-9　横浜市立大学医学部第2外科

受理年月日
1999年4月28日

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