原著
大腸腺腫の悪性化過程におけるアポトーシス関連蛋白の影響に関する免疫組織学的検討
堅田 昌弘, 杉山 保幸, 国枝 克行, 佐治 重豊
岐阜大学医学部第2外科
大腸腺管腺腫174病変を対象に変異型p53とBcl-2の発現,TUNEL染色によるAI値を免疫組織学的に検討した.その結果,Bcl-2陽性率は異型度が軽度から中等度に進行すると有意に増加し,高度および早期癌では逆に低下した.変異型p53陽性率は異型度の進行に伴って増加し,早期癌ではさらに高値を示した.AI値は正常粘膜に比べ軽度群,中等度群,高度群および早期癌がいずれも低値を示した.変異型p53とBcl-2陽性率は腺腫径では6mm以上,形態ではI sp, I p型が有意の高値を示した. 以上の結果,1)腺腫の増大や異型度の早期にはBcl-2が,癌化の段階には変異型p53が関与する可能性が示唆された.2)異型度が中等度以上で大きさが6mmを越える有茎性腺腫は,生物学的悪性度が高いと推察された.
索引用語
colorectal adenoma, mutant p53, Bcl-2 protein, TUNEL stain, apoptosis
日消外会誌 32: 2224-2230, 1999
別刷請求先
堅田 昌弘 〒501-8076 岐阜市司町40 岐阜大学第2外科
受理年月日
1999年4月28日
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