症例報告
臓器軸性胃軸捻転を伴った滑脱型食道裂孔ヘルニアに進行胃癌を合併した1切除例
瀬下 達之, 伊藤 雅夫, 門田 一宣, 水上 智夫
ユニチカ中央病院外科
症例は78歳の女性.嘔気,食欲不振などの上腹部症状を認めたため入院した.胸部単純X線で縦隔内に鏡面形成を伴った消化管ガス像を認めた.上部消化管造影X線検査で,臓器軸性胃軸捻転を伴った滑脱型食道裂孔ヘルニアを認めた.また,幽門部の不整な陰影欠損を認め,上部消化管内視鏡検査でBorrmann 2型の進行胃癌と診断した.開腹時,全胃の縦隔内への脱出を認め,幽門側胃切除術,食道裂孔縫縮術を行った.全胃が脱出した,臓器軸性胃軸捻転を伴った滑脱型食道裂孔ヘルニアに進行胃癌が合併し,これを切除した症例を経験した.胃軸捻転のうち臓器軸性軸捻転を伴った胃癌症例は検索しえた限り報告を認めず,自験例が本邦1例目と考えられた.
索引用語
sliding hiatal hernia, organoaxial volvulus, advanced gastric cancer
日消外会誌 32: 2243-2247, 1999
別刷請求先
瀬下 達之 〒611-0021 宇治市宇治宇文字24-1 ユニチカ中央病院外科
受理年月日
1999年3月31日
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