症例報告
Leser-Trélat徴候を呈した早期胃癌と進行直腸癌の2例
徳川 奉樹, 山村 義孝, 鳥井 彰人, 清水 泰博, 小寺 泰弘, 平井 孝, 安井 健三, 森本 剛史, 加藤 知行, 紀藤 毅
愛知県がんセンター消化器外科
腫瘍随伴皮膚病変群に属するLeser-Trélat徴候(以下,L-T徴候と略記)は突然出現し急速にその大きさと数を増すseborrheic keratosisと定義され,同徴候を伴った内臓癌症例の2例を経験したので報告する.症例1:73歳,男性.主訴:皮膚掻痒感.現病歴:平成9年3月初旬から頸部の老人性疣贅が短期間に数と大きさを増し,痒みを伴うようになった.L-T徴候と考え精査したところ胃体上部にIIc病変を認めたため噴門側胃切除術を施行した.中分化型管状腺癌,stage Iaであった.症例2:72歳,男性.主訴:食欲低下.現病歴:平成9年1月頃より食欲不振,便柱の狭小化があり,同時にL-T徴候を認めた.2月の検診で便潜血反応陽性のため精査したところRsに2型病変を認め低位前方切除術を施行した.中分化腺癌,stage IIIaであった.L-T徴候を認めた場合内臓悪性腫瘍を伴っている可能性が高く,臨床的には重要な所見と考えられた.
索引用語
sign of Leser-Trélat, paraneoplastic dermatoses, seborrheic keratosis
日消外会誌 32: 2253-2257, 1999
別刷請求先
川 奉樹 〒464-8681 名古屋市千種区鹿子殿1-1愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1999年4月28日
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