症例報告
膀胱全摘出11年後に発見された尿管S状結腸吻合部に発生した過形成ポリープの1例
船橋 公彦, 千田 龍也, 前田 利道, 戸倉 夏木, 三木 敏嗣, 鈴木 康司, 松本 浩, 辻田 和紀, 小林 一雄, 吉雄 敏文
東邦大学医学部第1外科
今回,われわれは膀胱全摘後11年して血便を契機に発見された,尿管S状結腸吻合に発生した乳頭状腫瘍を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,血便を主訴に当院を受診した.入院後の注腸検査と下部消化管内視鏡検査にてS状結腸の尿管吻合近傍に腫瘤の形成を認めたため,悪性腫瘍を疑ったが,生検ではGroup 2であった.尿管S状結腸吻合術後のS状結腸に発生する腫瘤には癌の頻度が高いことからS状結腸切除を行った.組織学的には悪性所見は認められず,陰窩上皮の乳頭状の増生と間質の浮腫,炎症を伴う過形成性ポリープと診断した.膀胱全摘出後の尿管S状結腸吻合部に発生した過形成性ポリープの報告は比較的まれで,今回,自験例を含めた報告例についての文献的考察を行った.
索引用語
total cystectomy, hyperplastic polyp after ureterosigmoidostomy
日消外会誌 32: 2278-2282, 1999
別刷請求先
船橋 公彦 〒143-0015 東京都大田区大森西6-11-1 東邦大学医学部第1外科
受理年月日
1999年3月31日
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