症例報告
リンパ節転移陽性であった径5mmのIs型直腸sm癌の1例
澤井 照光1)2), 辻 孝1)2), 七島 篤志2), 地引 政晃2), 山口 広之2), 安武 亨2), 中越 享2), 綾部 公懿2)
日浦病院外科1), 長崎大学第1外科2)
患者は胆嚢摘出術の既往を有する49歳の男性で,下腹部痛と下痢を主訴として当院を受診した.大腸内視鏡検査では肛門縁より10cmの直腸に径5mmで二段隆起を伴う隆起性病変が認められた.腺管状腺腫の診断で内視鏡的ポリペクトミーを施行したところ,組織学的にはsm massiveの中分化腺癌で,摘除断端陽性と診断された.追加腸切除の適応と考えられ,ポリペクトミーの4週後に第2群リンパ節郭清を伴う低位前方切除術を行った.組織学的に癌遺残はみられなかったものの,郭清された計16個のリンパ節のうち3個(#251)に転移が認められた. 本症例は,径5mmの小さいIs型癌の中にもsm癌が存在することと,隆起型病変では特に二段隆起などの所見に注目した詳細な観察を行うことでsm癌を診断することが可能であることを示した点で貴重であると考え報告した.
索引用語
minute Is-type submucosal rectal cancer, double elevation, endoscopic diagnosis of submucosal colorectal cancer
日消外会誌 32: 2292-2295, 1999
別刷請求先
澤井 照光 〒852-8501 長崎市坂本1-7-1長崎大学第1外科
受理年月日
1999年3月31日
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