原著
噴門側胃切除における空腸間置法と空腸嚢間置法との比較検討
仙丸 直人, 森田 高行, 宮坂 祐司, 藤田 美芳, 加藤 紘之*
北海道消化器科病院外科, 北海道大学第2外科*
噴門側胃切除後の空腸嚢間置再建群12例(JPI群)と空腸間置群12例(JI群)における1.手術時間,術後在院日数,2.アンケート調査による術後愁訴と1回食事量,3.術後の体重の変化を比較検討した.1.手術時間,術後在院日数は両群に差を認めなかった.2.アンケート調査の結果:胸やけはJPI群に3例,JI群に1例,早期ダンピング症状はJPI群に3例,JI群に5例認め両群に差はなかった.上腹部痛,つかえ感,嘔気・嘔吐はJPI群で有意に少なかった.1回食事量が術前と比較し70%以上摂取できる者がJPI群で80%,JI群で55%とJPI群に多い傾向にあった.3.術後体重:術後12か月の体重は術前値に比べJPI群では92%,JI群では84%でJPI群で有意に体重減少が少なかった.空腸嚢間置再建術は術後のquality of lifeが良好で,特に問題となる術後合併症のないことから噴門側胃切除後の再建方法として優れていると考えられる.
索引用語
proximal gastrectomy, jejunal pouch interposition, quality of life, reconstruction
日消外会誌 32: 2309-2313, 1999
別刷請求先
仙丸 直人 〒065-0041 札幌市東区本町1条1 北海道消化器科病院外科
受理年月日
1999年5月25日
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