原著
多発胃癌からみた胃縮小手術の問題点
井上 健太郎, 中根 恭司, 飯山 仁, 佐藤 睦哉, 奥村 俊一郎, 明平 圭司, 日置 紘士郎, 坂井 田紀子*, 岡村 明治*
関西医科大学第2外科, 同 病理検査科*
近年,胃切離範囲の縮小化に伴い多発胃癌の問題があらためてクローズアップされている.多発胃癌の頻度は高い施設によっては20%前後と報告されており,当科においてもその頻度は,早期胃癌で17.3%,進行癌で8.1%であった.多発胃癌の平均年齢は64.5歳,男女比は7:1と単発胃癌に比べ高齢男性に多く,組織学的には高分化型管状腺癌が多かった.副病巣の術前診断率は53.4%と低率であり,術前に見逃された副病巣の特徴を多変量解析にて検討したところ,深達度の浅いもの,隆起性病変を含まないもの,主病巣に近いもの,主病巣の深達度が深いものが見逃されやすいという結果となった.副病巣はM,A領域に多く存在し,同部位を多く温存する術式ほど多発胃癌の見逃しによる残胃癌につながると考えられた.
索引用語
limited operation for gastric cancer, multiple gastric cancers, residual gastric cancer
日消外会誌 32: 2320-2324, 1999
別刷請求先
井上 健太郎 〒570-8507 守口市文園町10-15 関西医科大学第2外科
受理年月日
1999年4月28日
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