原著
胃癌におけるthymidine phosphorylase活性の臨床的意義,特にリンパ節転移,再発形式について
藪崎 裕, 梨本 篤, 土屋 嘉昭, 筒井 光広, 田中 乙雄, 佐々木 壽英
県立がんセンター新潟病院外科
75例の胃癌切除標本を用い,原発巣,肉眼的転移陽性リンパ節,正常胃粘膜におけるthymidine phosphorylase(dThdPase)値を定量し,臨床病理学的因子,再発形式と比較検討した.さらに,原発巣におけるdThdPaseの免疫染色を行い,定量値との相関性およびその意義を検討した.活性値はリンパ節転移巣,原発巣,正常粘膜の順に高値で,原発巣とリンパ節転移巣の活性値には正の相関を認めた.原発巣のdThdPase値は血行性転移を来しやすい限局型,髄様型で高く,他にINFα,リンパ節転移陰性例で高値だった.限局型での原発巣免疫染色陽性例の定量値は陰性例より高値だった.腹膜播種再発例の活性値は非再発例,他の再発形式より低値だった.以上よりdThdPaseの発現はリンパ節転移巣において高く,原発巣での発現は血行性転移との関連が推測され,腹膜播種再発とは負の相関関係にあった.また,組織型を考慮した免疫染色は有用な方法であると考えられた.
索引用語
thymidine phosphorylase, gastric cancer, lymph node metastasis of gastric cancer, relapsing forms of gastric cancer, immunohistochemical study
日消外会誌 32: 2325-2332, 1999
別刷請求先
藪崎 裕 〒951-8566 新潟市川岸町2-15-3 新潟県立がんセンター新潟病院外科
受理年月日
1999年5月25日
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