消化器悪性腫瘍手術症例におけるRecombinant Human Erythropoietin (rHuEPO) 併用自己血輸血の有用性と術後細胞性免疫能の検討

岡林　孝弘^1）, 田中　紀章^2）, 里見　進^3）, 鈴木　博孝^4）, 高木　弘^5）, 高橋　俊雄^6）, 斎藤　洋一^7）, 峠　哲哉^8）, 杉町　圭藏^9）, 折田　薫三^10）

エポジン自己血輸血研究会
岡山大学医学部第1外科（現）高知県立中央病院外科^1）, 岡山大学医学部第1外科^2），東北大学医学部第2外科^3）, 東京女子医科大学附属消化器病センター^4）, 名古屋大学医学部第2外科^5）, 京都府立医科大学第1外科^6）, 神戸大学医学部第1外科^7）, 広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科^8）, 九州大学医学部第2外科^9）, 林原生物化学研究所^10）

　消化器悪性腫瘍手術症例を対象として，Recombinant human erythropoietin（rHuEPO）を併用した貯血式自己血輸血症例の自己血貯血後のヘモグロビン（Hb）濃度の推移と同種血輸血回避率を検討し，手術前後の細胞性免疫能を同種血輸血群および無輸血群と比較検討した．
1．貯血量を加算した術前Hb増加量による有効率は800ml貯血例で67.2％（43/64例），1,200ml貯血例で85.7％（6/7例），同種血輸血回避率は94.2％（65/69例）であった．2．NK活性は手術1，2週後に低下し，手術3週後には自己血輸血群，無輸血群では回復したが，同種血輸血群では回復せず，自己血輸血群に対して有意に低下していた．他の細胞性免疫能は，3群とも同様な推移を示した．
　以上より，同種血輸血回避による輸血副作用防止および術後細胞性免疫能の低下抑制の面からrHuEPOを併用した自己血輸血は有用と考えられた．

索引用語
autologous blood transfusion, erythropoietin, immune function, gastroenterological malignancy

別刷請求先
岡林　孝弘　〒780-0821　高知市桜井町2-7-33　高知県立中央病院外科

受理年月日
1999年5月25日

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