症例報告
成人の原発性筋肥厚性幽門狭窄症の1例
中村 英治, 服部 龍夫, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 深田 伸二, 湯浅 典博, 林 祐次, 江畑 智希, 鷲津 潤爾, 高見澤 潤一
名古屋第一赤十字病院外科
症例は46歳の男性.18歳時胃潰瘍の既往がある.5年前から食後の腹部膨満感があり流動食を主食としてきたが,1994年7月吐血し入院した.胃潰瘍,十二指腸潰瘍による幽門狭窄症と診断し胃切除術を施行した.切除標本にて胃角部の潰瘍と幽門部筋層の肥厚を認めた.病理組織学的に幽門部には2次性の筋層肥厚を示唆するような炎症性細胞浸潤,線維化やAuerbach神経叢の変性を認めず,原発性の筋肥厚性幽門狭窄症と診断した.成人の筋肥厚性幽門狭窄症は極めてまれな疾患であるが,幽門狭窄をきたす疾患のひとつに本疾患を想起し,特徴的なX線,内視鏡所見に注意すれば術前診断も可能と考えられた.
索引用語
primary hypertrophic pyloric stenosis, pyloric stenosis, adult
日消外会誌 32: 2355-2359, 1999
別刷請求先
中村 英治 〒446-8602 安城市御幸本町12-38 更生病院外科
受理年月日
1999年5月25日
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