膵頭部癌に対するPpPDの適応と成績

羽鳥　隆, 今泉　俊秀, 原田　信比古, 福田　晃, 高崎　健

東京女子医科大学附属消化器病センター外科

　膵頭部癌に対する全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除（PpPD）の適応を，十二指腸第1部または胃への癌の直接浸潤を認めず，胃周囲リンパ節（（3），（4），（5），（6），（7））への転移を認めないこととした1989年以降の膵頭部浸潤性膵管癌切除例154例を対象に，PpPD 66例と胃切除を伴う膵頭十二指腸切除（胃切除PD）88例の2群に分け，比較検討した．拡大手術は，ともに約80％に安全に行われ，進行度，根治度もPpPDと胃切除PDで差はなかった．5生率，平均生存期間もともに差はなく，PpPDでおのおの，35％，15.0か月であった．再発様式はともに後腹膜再発，肝転移が多くを占め，PpPDで胃周囲リンパ節再発例はなかった．Performance, Statusと体重変動からみた術後のQuality of Life（QOL）もPpPDと胃切除PDに差はなく良好であった．以上より，上記の適応基準を用いれば，根治性，安全性，術後QOLを損なうことなく，膵頭部癌に対する基本術式としてPpPDを導入できると考えられた．

索引用語
pancreatic head cancer, pylorus-preserving pancreatoduodenctomy, extended radical operation

別刷請求先
羽鳥　隆　〒162-8666　東京都新宿区河田町8-1　東京女子医科大学消化器外科

受理年月日
1999年7月28日

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