特集
進行膵頭部癌に対するPpPDとPD
高橋 伸, 相浦 浩一, 斎藤 淳一, 早津 成夫, 星本 相淳, 鈴木 慶一, 北島 政樹, 尾形 佳郎*
慶應義塾大学外科, 栃木県立がんセンター外科*
近年,わが国に於いてもPpPDは膵頭部領域癌に対して広く普及してきているが,進行膵頭部癌に対する適応は,現在でも議論のあるところである.今回は,1983年9から1997年12月までに切除した進行膵頭部癌,stage III,IVa,IVb症例76例を対象とした.このうち22例にはPpPDを施行しPpPD群とし,54例にはPDを施行しPD群とし,両群における病理組織学的所見,術後合併症,術後QOL,再発形式,生存期間等について比較検討した. その結果,(1)術後合併症発生率,特に胃内容停滞の発生率に有意差は認められない.(2)両群のリンパ節転移状況とplx陽性率,再発形成に差はない.(3)術後の体重回復率は,術後1.5年まではPpPD群が良好である.(4)生存率では有意差はないが,2年以降はPpPD群の成績が優れているという結論が得られた.PpPDは手術適応を満たしD2郭清を行えば,進行膵頭部癌に対しても根治性を落とさず施行出来,術後早期における優れた消化吸収機能から,PDにとって代わる術式となると考えている.
索引用語
advanced carcinoma of the head of the pancreas, pylorus-preserving pancreatoduodenectomy, pancreatoduodenectomy
日消外会誌 32: 2427-2431, 1999
別刷請求先
高橋 伸 〒160-8582 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
1999年7月28日
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